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Premium関西 編集部

高野山真言宗の総本山・金剛峯寺をはじめ117もの寺院が建ち並ぶ日本仏教の聖地・高野山。平安時代初期に弘法大師(空海)が開き、その後1,200年以上にわたり人々の信仰を集めてきました。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界文化遺産に登録され、世界各国からも多くの人が訪れています。

聖域へ通じる高野参詣の表参道

「町石道(ちょういしみち)」は、九度山から壇上伽藍にある根本大塔へと続く高野参詣道の表参道。道中、聖域へと導くように180基の石柱が建っています。1町(約109m)おきにあることから「町石」と呼ばれ、一つひとつに壇上伽藍からの距離や梵字が刻まれています。

九度山にある慈尊院から根本大塔までは約22km。町石を辿り、途中の自然や景観を楽しみながらたっぷりと時間をかけて歩くハイキングもおすすめ。
途中、「鏡石」「袈裟掛石」「押上石」や、紀の川平野が一望できる展望台、美しい竹林と町石を背景に撮影できるスポットなど見どころも多数。開山以来多くの人々が踏みしめた信仰の道に、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

「町石」は五輪卒塔婆形の石柱。もとは木でできていたが、鎌倉時代に石造となったそう

「町石」は五輪卒塔婆形の石柱。もとは木でできていたが、鎌倉時代に石造となったそう

かつて弘法大師も幾度となくこの道を歩いた

かつて弘法大師も幾度となくこの道を歩いた

施設名
高野山 町石道
電話
0736−54−2019(高野山町石道語り部の会事務局)

参道に点在する大師ゆかりの名刹

町石道には、弘法大師に由来する名刹が多数点在しています。
そのひとつ「慈尊院」はこの参詣道の出発点となる寺院。弘法大師の母・玉依御前が滞在し、後に大師がここに母の霊を安置したと言われることから女人高野と称され、多くの女性から信仰を集めています。

天照大御神の妹神で、弘法大師に高野山の土地を授けた丹生都比売大神と、大師を高野山へ導いたとされる高野御子大神を祀るのが「丹生都比売神社」。全国にある丹生神社の総本社で、約1,700年前に創建されました。かつては、町石道の中間にある「二つ鳥居」が境内への入り口であり、丹生都比売神社に参詣した後に高野山へ向かうことが慣わしでした。

「慈尊院」のご本尊は弥勒仏坐像。多くの女性が子宝や安産を願って祈願に訪れる

「慈尊院」のご本尊は弥勒仏坐像。多くの女性が子宝や安産を願って祈願に訪れる

「丹生都比売神社」の楼門。室町時代の建立で入母屋造・檜皮葺き

「丹生都比売神社」の楼門。室町時代の建立で入母屋造・檜皮葺き

施設名
慈尊院
郵便番号
648-0151
住所
和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832
時間
8:00〜17:00
休み
無休
料金
参拝無料
電話
0736-54-2214
アクセス
南海九度山駅から徒歩25分

施設名
丹生都比売神社
郵便番号
649-7141
住所
和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
時間
境内自由(授与所は8:45〜16:30)
休み
無休
料金
参拝無料
電話
0736-26-0102
アクセス
JR笠田駅からかつらぎ町コミュニティバスで約30分、「丹生都比売神社前」下車、徒歩すぐ

高野山の中心部「壇上伽藍」「金剛峯寺」

高野山の総門である「大門」を通過すると、山上2大聖域のひとつ「壇上伽藍」に到着です。高野山の総本堂に当たる「金堂」や、真言密教の最も大切な理念を表すシンボルとして建立された高さ48.5mの「根本大塔」など19の諸堂が並んでおり、弘法大師が密教思想に基づく曼荼羅の世界を表現したと言われています。

「壇上伽藍」を後にしてさらに進むと、高野山真言宗の総本山である「金剛峯寺」の堂々たる建築が目に入ります。東西30間、南北35間という主殿の大広間には狩野派の襖絵が。また弘法大師入定1,150年を記念して造園された日本最大の石庭「蟠龍庭」も見応えがあります。

「壇上伽藍」にそびえる「根本大塔」は、弘法大師が修禅の基盤として建立した日本初の多宝塔。堂内には立体曼荼羅が表現されている

「壇上伽藍」にそびえる「根本大塔」は、弘法大師が修禅の基盤として建立した日本初の多宝塔。堂内には立体曼荼羅が表現されている

「金剛峯寺」は、幾度も火災で消失。現在の主殿は1863(文久3)年に再建されたもの

「金剛峯寺」は、幾度も火災で消失。現在の主殿は1863(文久3)年に再建されたもの

施設名
壇上伽藍
郵便番号
648-0211
住所
和歌山県伊都郡高野町高野山152
時間
境内自由(金堂・根本大塔は8:30〜17:00(受付は16:30まで))
休み
無休
料金
金堂・根本大塔拝観料各500円
電話
0736-56-2011(金剛峯寺)
アクセス
南海高野山駅から南海りんかんバスで約14分、「金堂前」下車、徒歩すぐ

施設名
金剛峯寺
郵便番号
648-0294
住所
和歌山県伊都郡高野町高野山132
時間
8:30〜17:00(受付は16:30まで)
休み
無休
料金
拝観料1,000円、小学生300円
電話
0736-56-2011
アクセス
南海高野山駅から南海りんかんバスで約11分、「金剛峯寺前」下車、徒歩すぐ

弘法大師が入定した霊域

「壇上伽藍」とともに高野山の2大聖域とされるのが「奥之院」です。835(承和2)年に弘法大師が入定した地であり、大師の御廟所があります。参道のはじまりである一の橋から御廟までの間には、20万基以上の墓石や慰霊碑と樹齢千年に及ぶ杉木立が並ぶ荘厳な景観が広がります。
御廟では、弘法大師が永遠の瞑想を続けているとされ、入定信仰が世に広く伝わることとなりました。御廟の手前にある「御廟橋」から先は霊域です。身なりを正して礼拝し、足を踏み入れましょう。

“聖域”にふさわしい荘厳な雰囲気に満ちている

“聖域”にふさわしい荘厳な雰囲気に満ちている

弘法大師入定後から1200年間、欠かさず行われてきた「生身供(しょうじんぐ)」。1日2回、御廟へと食事を届ける

弘法大師入定後から1200年間、欠かさず行われてきた「生身供(しょうじんぐ)」。1日2回、御廟へと食事を届ける

施設名
奥之院
郵便番号
648-0294
住所
和歌山県伊都郡高野町高野山550
時間
境内自由(灯籠堂の開扉は6:00〜17:00、ご供養受付は8:30〜14:30)
休み
無休
料金
拝観無料
電話
0736-56-2011(金剛峯寺)
アクセス
南海高野山駅から南海りんかんバスで約20分、「奥之院前」下車、徒歩15分

今の時代に求められる、日本の原風景を感じる旅

高野山を訪れたなら、ぜひ宿坊での宿泊を体験していただきたいものです。117ある寺院のうち、51寺院が宿坊として利用可能。一般的な宿泊施設とは違い、宿泊者は寺の儀式や食事を体験できます。

朝、御本尊の前でお勤めをする「朝の勤行」、真言密教における呼吸法・瞑想法「阿字観」、心静かに一字一句浄書する「写経」など、実際に体験することで、より高野山の伝統を深く知ることができるでしょう。
また、肉や魚を使わずに、器の一つひとつにまで心が行き届いた精進料理をいただけるのも魅力のひとつ。

ただし、ホテルではなくあくまで寺院。ルールやマナーは守るように心がけましょう。
人ごみを離れ、日本の原風景を感じて、仏教の聖地をじっくりと訪ねる。
心静かに自分と向き合う、まさに今の時代にぴったりな旅となるはずです。

1日の始まりは、読経や礼拝の勤行から始まる

1日の始まりは、読経や礼拝の勤行から始まる

集中し、雑念を払って写経と向き合おう

集中し、雑念を払って写経と向き合おう

宿泊部屋の一例。歴史ある和の設えにどこか懐かしさを感じる

宿泊部屋の一例。歴史ある和の設えにどこか懐かしさを感じる

精進料理の一例。ヘルシーだがしっかりとした味わい

精進料理の一例。ヘルシーだがしっかりとした味わい

問い合わせ
0736-56-2616(一社)高野山宿坊協会
申し込み
(一社)高野山宿坊協会へ連絡、または各宿坊へ直接連絡
料金
宿坊により異なる

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