Premium関西Premium関西

公開日

最終更新日

Premium関西 編集部

滋賀県の大津市観音寺から京都市伏見区堀詰町までの「第一疏水」とその北側を並行、すべてトンネルの「第二疏水」から構成される、びわ湖疏水。明治時代、日本人のみの手によって造られたこの水路を、専門ガイドの案内で周遊するびわ湖疏水船では、桜や新緑、紅葉など四季折々の景観はもとより、その歴史を感じる貴重な遺構も随所に見ることができるのが魅力です。びわ湖疏水が造られた時代にも思いを馳せつつ、蹴上から大津への上りは約35分、大津から蹴上への下りは約55分、のんびりと船旅を楽しんでみませんか。

京都の産業を復興させた、人工運河建設事業

明治維新により、事実上東京に都が移ったことによって京都の産業は急激に衰退していったといいます。その京都を復興させるために行われたのが、びわ湖の水を京都に通す人工運河を建設する琵琶湖疏水事業。びわ湖から水を引くことにより、工場などが誘致できるほか、船での物資の運搬などにより産業の復興を図ったのです。これは、第3代京都府知事の北垣国道により計画され、満21歳という若さで主任技師に就任した田邉朔郎を中心に京都市民の手によって建設が進められました。着工から実に4年8ヶ月後の明治23(1890)年、日本人のみの手で行われた、日本最初の大土木事業が成し遂げられました。一時期は休止していた琵琶湖疏水の船運事業が、2018年春に67年の歳月を経て再開、2020年には「京都と大津を繋ぐ 希望の水路 琵琶湖疏水」として文化庁選定の「日本遺産」にも認定されたのです。

旧御所水道ポンプ室など、貴重な産業遺産を見ることができます。

旧御所水道ポンプ室など、貴重な産業遺産を見ることができます。

さまざまな歴史・産業遺産を船上から見学

大津・蹴上間の約7.8kmの航路には、大津の第一トンネルや京都・御陵の第二トンネル、そして蹴上の第三トンネルなどレンガ造りのトンネルをはじめとする貴重な産業遺産が点在します。各トンネルの入口に掲げられている扁額も必見。初代総理大臣伊藤博文や初代内務大臣井上馨など、維新で活躍した明治を代表する政治家たちの揮毫(きごう)を見ることができます。書かれている言葉や筆跡から、歴史的偉人たちの人柄を想像してみるのも楽しいかもしれませんね。また、大津乗船場内にある大津閘門(こうもん)も注目ポイントのひとつ。水位の異なる場所に船をスムーズに上下させるための装置である閘門がレンガで造られたのは日本で初めてと、こちらも貴重なもの。航路はもとより、びわ湖疏水周辺の道にも産業遺産は点在するので、船旅のあとに散策するのもよいかも知れませんね。

第一トンネル東口には、初代総理伊藤博文の扁額が掲げられています。

第一トンネル東口には、初代総理伊藤博文の扁額が掲げられています。

四季折々の風光明媚な景観で心癒される船旅を

春の桜や菜の花、秋の紅葉など、四季折々の美しい風景を船から楽しむのも趣があって素敵ですよね。びわ湖疏水船の大津乗下船場から第一トンネル周辺や第二トンネル周辺、山科疏水の四ノ宮船溜諸羽トンネルなどが桜の名所としても有名です。明治期の産業遺産であるトンネルを覆い尽くすように桜が咲く様子は、絶好のシャッターポイント。見逃せません。また秋の紅葉にも注目。第三トンネル周辺が紅葉スポット。トンネル越しに見える紅葉が川面に反射する様子は思わず息を呑む美しさ! 滋賀の大津乗下船場からは、桜や紅葉の名所として知られる湖東三山のひとつ、三井寺(圓城寺)も。京都の蹴上乗下船場周辺も桜の名所として人気のスポット。疏水船での船旅の前後に周辺を散策すれば、桜や紅葉に包まれているかのような美しい景観を鑑賞することができますよ。

桜と菜の花のコントラストも美しい。

桜と菜の花のコントラストも美しい。

桜が疎水を華やかに彩ります。

桜が疎水を華やかに彩ります。

トンネル越しの紅葉も必見!

トンネル越しの紅葉も必見!

基本情報

施設名称
びわ湖疏水船
住所
〒600-8023
京都市下京区河原町通松原上ル2 富永町338 京阪四条河原町ビル7F JTB京都支店内
営業時間
9:30〜17:30
定休日
土・日曜、祝日
アクセス
[蹴上乗船場]
京都市営地下鉄蹴上駅から徒歩5分
[山科乗船場]
京阪電車四宮駅から徒歩10分
[大津乗船場]
京阪電車三井寺駅から徒歩5分
電話
075-365-7768(電話予約不可)
予算
山科→蹴上3,000円〜、大津→山科2,000円〜、大津〜蹴上5,000円〜
(時期、時間によって異なる)
支払い方法
現金、AMEX,Dinners,JCB,MasterCard,Visa
公式サイト
公式サイト
Facebook
LINE
twitter

BREATHTAKING NATURE ESCAPES