古くから、京都の「着倒れ」に対して大阪は「食い倒れ」といわれてきました。食を大切にしてお金を惜しまない大阪人の、食道楽の気質がよく表されています。また、全国各地から食材が集まった江戸時代には、「天下の台所」と謳われたほど。なにわ商人が頻繁に料理屋を使うことで料理人の腕が磨かれ、料理とおもてなしが洗練されていったのです。今も大阪の街には老舗の料亭や割烹が多く、なにわの食にまつわる旧きよき文化を伝承しています。大阪市内中心部のビジネス街、西区江戸堀に店を構える天ぷらの名店「一宝」もそのひとつ。老舗の料亭ならではの伝統の技と最上のおもてなしを、ぜひ体感してみてください。
創業から170年。国内外のVIPも魅了
大阪を代表する老舗料亭で、天ぷらの名店として知られる「一宝」。1850(明治17)年、油屋を営んでいた初代が副業で創業したのが店のルーツだそうです。それ以来、5代にわたって170年の歴史を重ねています。そんな長い歴史の中で、マッカーサー、クリントン、ゴルバチョフをはじめとした世界的なVIPや、国内外の各界を代表する要人を迎えもてなしてきました。まさに、名店中の名店といえるでしょう。今では、江戸堀の本店ほか、大阪・梅田、東京・銀座、香港にも支店を構え、名店の味を披露しています。
女将さんのおもてなしで、非日常の世界へ
「一宝」本店があるのは、大小のビルが立ち並ぶビジネス街の一角。大通りから一本逸れた路地を進むと、石垣と土壁に瓦葺の屋根を冠した立派な門が現れます。老舗の風格が漂う重厚な店構えにドキドキしながら足を踏み入れると、そこは料亭ならではの非日常な空間。さらに玄関では、女将さんと仲居さんが揃いでお出迎え。意識しなくても、自然にシャキッと背筋が伸びることでしょう。でも、心配は要りません。「伝統や格式にこだわり過ぎず、お客様それぞれの楽しみを追求することが、一宝のおもてなしです」という女将さんの柔らかな笑顔が、緊張を解きほぐしてくれます。
豪華な待合室に通され、気分はVIP!
丁重なおもてしなしを受け、いざ入店。ここから先は、一組ずつ専属の仲居さんが案内してくれます。期待に胸が高鳴るなか、まず案内されるのは待合室。客室の準備が整うまでの間、ゲストはここでお茶をいただきながらひと休みします。シックな土壁に囲まれた落ち着きある空間には、大きなテーブルと椅子の設え。なんとこのテーブル、縄文杉の名で知られる屋久杉の一枚板を使った特注品なのだとか。お店自慢の調度品のひとつですが、木目と艶の美しさはもはや芸術品の域。名だたるVIPも一息ついた贅沢な空間で、食事前のひと時を楽しんでください。
個室の日本座敷で、懐石コースのスタート
準備が整うと、仲居さんが客室へ案内してくれます。通されるのは、全国各地の銘木をあしらった、掘りごたつ式の日本座敷。一組ごとに専用で使用する、完全個室です。ここでは、天ぷら懐石コースの前半として、先附け、季節の八寸、旬のお造りなどの前菜をいただきます。旬食材の持ち味を最大限に生かし、熟練の料理人さんが匠の技で仕上げた料理は、味はもちろん見た目にもおいしい逸品ばかり。窓の向こうに広がる庭の景色や、お部屋を彩る調度品を愛でながら、ゆったりと老舗料亭の味を楽しみましょう。
天ぷら専用の個室で、料理人さんをひとり占め
前菜を味わった後は、いよいよコースのメイン、天ぷら。ここで、仲居さんの案内を受けて再度お部屋を移動します。通されるのは、カウンターに揚げ器が設えられた天ぷら専用の客室です。もちろん、こちらも完全個室のプライベート空間。部屋専属の料理人が、自分のためだけに目の前で天ぷらを揚げてくれます。黙っていても絶妙なタイミングで次の一品がサーブされ、常に揚げたての一番おいしい状態で味わえるのです。まさに、料亭ならではの贅沢。料理人との会話も、天ぷらをより一層おいしくしてくれます。
油も食材も、すべてにこだわりが満載
こういったスタイルや空気感とともに、「一宝」が天ぷらの名店と呼ばれるわけは、何といっても味。油も食材も最上を追求し、名店の味を守り続けています。油は、極上の紅花油のみを使い、お客様ごとに新しい油と取り替えて用意。油で揚げているのに油を感じさせない軽やかさが、「一宝」の天ぷらなのです。また、魚介や野菜などの食材も旬と鮮度にこだわり、その中でも最上級のものを熟練の目利きで厳選。天ぷらにした状態で本来の味が最大限に引き出されるよう、仕込みや包丁の入れ方なども食材ごとに変えるそうです。衣を纏わせ油で揚げる、シンプルな料理、天ぷら。「一宝」での食体験は、その奥深さと魅力を改めて感じさせてくれることでしょう。
基本情報
- 施設名称
- 一宝 本店
- 住所
-
〒604-8213
大阪府大阪市西区江戸堀1-18-35 - 営業時間
- ランチ11:30~14:30、ディナー17:30~22:30
- 定休日
- 日曜、祝日
- 予算
- ランチ12,100円~、ディナー22,770円~
- 支払い方法
- 現金、AMEX,Diners,MasterCard,JCB,Visa,UnionPay
- 電話
- 06-6443-9135
- アクセス
- 大阪メトロ四つ橋線肥後橋駅から徒歩3分
- 公式サイト
- 公式サイト