和歌山県南部と三重県南部にまたがる熊野地方。熊野信仰の中心地として広く知られ、昔も今も多くの参拝客が足を運ぶエリアです。そんな熊野地方は古くから高菜の栽培が盛んだったことでも知られ、塩漬けした高菜の葉で包み込んだおにぎり「めはり寿司」は特産品として名を馳せています。なかでも和歌山県新宮市で営む「総本家めはりや」は、熊野古道に訪れる客や地元の人びとを喜ばせ続ける名店です。
熊野速玉大社の近くで目を引く、めはり寿司の名店
和歌山県新宮市は、熊野三山の一つ熊野速玉大社の門前町であり、江戸時代には徳川御三家の一つ紀州藩の江戸家老・水野家の城下町として栄えた場所です。そのため昔から人の往来が多く、訪れる人びとを温かく迎え入れる土地柄でした。そんな土地で長年、熊野の郷土料理「めはり寿司」を提供し、地元の人や観光客を満足させる名店があります。それが2022年に創業60年周年を迎えるめはり寿司の専門店「総本家めはりや」。屋根は緑系、壁はオレンジ系の目を引く建物は、めはり寿司を意識した半円状でまるい独特な形状で、老若男女さまざまな客を迎え入れます。店内は掘りごたつの個室7部屋と一枚板のカウンターの全36席で構成され、ゆったりとしたスペースの中、食事をいただけます。
熊野地方の家庭料理として古くから愛され続ける
めはり寿司は、新宮市を中心とした熊野地方で、山仕事をはじめ、農業や漁業などの労働者のお弁当として、何百年もの昔から食べられてきました。当時はソフトボールほどの大きさにつくられたため、食べるとき目も口と同じように大きく張ることから目を張る寿司「めはり寿司」と名付けられたという説があるそう。もともと家庭料理だっためはり寿司を県外の観光客にも味わってほしいと販売をはじめたのが「総本家めはりや」。おにぎりの中に醤油ベースのタレであえた高菜の茎を入れ、親しみやすい味を追求。サイズも小さくし、女性やお年寄りも食べやすいように創意工夫を重ねた一品です。
出来立てだからこそ感じられる深い味わい
「総本家めはりや」では、一切作り置きせず注文を受けてからつくるのが基本。握りたての温かいご飯は、全体的にタレがなじみやすくなり、より一層深い味わいになります。素材にもこだわり、高菜、米、醤油は極力地元のものを使用。ただし、めはり寿司に適したものが見つかればその都度変更する徹底振りでおいしさを守り続けています。おにぎりを高菜で包んだシンプルな料理ながら、さまざまな組み合わせが楽しめるのも、めはり寿司の魅力の一つ。山芋とろろ、めざし、豚汁がセットになった創業時からの人気メニュー・めはり定食A(豚汁)1450円をはじめ、高菜の茎の代わりにエビ天を入れためはり天むす、本格茶そばとともに堪能できるめはりと茶そばなど、満足必至のメニューが揃っています。
美酒を傾けながら、おでん、串カツを頬張る。
「総本家めはりや」は、めはり寿司以外にも、串カツや紀伊勝浦産のマグロ料理など、一品料理を多数取り揃えています。その一品料理に合わせるお酒としてオススメなのが、熊野地方唯一の酒蔵・尾﨑酒造の代表酒「太平洋」。熊野の水を使用してつくられたコクがあり、キレの良さが特徴の清酒で、国内外のコンテストで多くの賞を受賞している折り紙つきのお酒です。創業当時から提供される特製みそおでんをあてに、美酒に酔いしれるのも一興ですね。
おみやげにめはり漬けをゲットしよう
めはり寿司を自宅でも楽しめるようにと「総本家めはりや」では、誰でもめはり寿司をつくることができるめはり漬けセットを販売。作り方は簡単で、まずはめはり漬けの茎の部分を切り取り、茎は細かく刻みます。次に細かく刻んだ茎に付属の特製タレをつけて、おにぎりの具に入れます。少し大きめに握った俵型のおにぎりを高菜で巻き込み、全体を軽く握れば完成。「総本家めはりや」の特製タレが付いているので、お店の味を再現したおいしいめはり寿司をつくることができます。お土産にめはり漬けセットを購入し、家でもチャレンジしてみましょう。
基本情報
- 施設名称
- 総本家めはりや
- 住所
-
〒647-0006
和歌山県新宮市薬師町5-6 - 営業時間
- 11:00〜22:00(最終入店21:00)
- 定休日
- 水曜
- 予算
- 昼1,000円〜、夜2,500円〜
- 支払い方法
- 現金、AMEX,Diners,JCB,MasterCard,Visa
- 電話
- 0735-21-1238
- アクセス
- JR紀勢本線新宮駅から徒歩12分
- 公式サイト
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