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歴史的な背景や全体のスケールを感じるのも城の醍醐味。構造物、石垣、庭など、さまざまな要素に注目ポイントを絞って、城めぐりをするのも楽しみ方の一つです。ここでは、「堅牢さを物語る石垣」をテーマにお城をご紹介します。石の積み方や使われている石などに特徴があり、ファンも多い石垣。建物はなくても、石垣だけが残って往時を偲ばせる城跡も関西各地に数知れずある。特徴ある石垣からその城のありし姿を想像するのも楽しいと思います。
自然の石をあまり加工せずに積み重ねた「野面積み」は、石垣のなかでも古いタイプ。織田信長や豊臣秀吉の時代に築かれた城に見られます。石の大きさや形にばらつきがあるためすき間ができてしまい、足掛かりとなってよじ登られてしまうというのが弱点。そのため、すき間には「間詰石」を詰めてあります。長所は、水はけがよく、大雨が降っても排水されやすいこと。「穴太衆(あのうしゅう)」という石工集団が得意とする組み方です。
石の角や表面を叩いて平たくして、形を整えてから積むのが「打ち込み接」です。石垣の城が増えるに従って普及した方法で、野面積みよりも高い石垣を作ることができました。すき間には間詰石を積めますが、野面積みと比べると、すき間が生じにくく、よじ登ぼることが難しいため、防御力がアップしたと言えます。
▶打ち込み接が見られる城
彦根城、二条城、大阪城、岸和田城 、姫路城、明石城、赤穂城、洲本城、出石城、篠山城、高取城、和歌山城、鳥取城、米子城
打ち込み接に続いて登場したのが、きれいに成形した石をすき間なく積み上げる「切り込み接」。見た目が美しく、よじ登りにくいというメリットがありました。石同士が密着しているために排水ができないことから、排水口が設けられます。
©徳島市教育委員会
美しい打ち込み接の石垣が残っている鳥取城。見どころは、天球丸跡に復元された「巻石垣」です。石垣の崩落防止のために築き足されたものですが、角を持たない球面の石垣は、他に例がない、全国唯一のものです。
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洲本城には、山頂から山麓に向けて、階段状に延々と続く「登り石垣」があります。縦方向に石垣を積むことで敵の横移動を封鎖する目的で築かれたと言われており、全国でも数例しかない、珍しいものです。
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