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祭り(まつり)は、日本の文化において最も活気に満ちた催しの一つです。地域ごとに個性あふれる伝統的な祭りが脈々と受け継がれてきており、その内容は山車(だし)や屋台行列、伝統舞踊(踊り)、神輿(みこし)の行列、歴史的衣装を纏ったパレードなど多岐にわたります。祭りの成功には地域コミュニティが協力し団結して運営を行っていくことが非常に大切であり、祭りを行うこと自体が人々の絆を強める貴重な機会となっているのです。
また、祭りは地域の文化発展にも大きく関わってきました。今回は、そんな祭りの中でも特にアグレッシブな「岸和田だんじり祭」と「阿波おどり」の2つの祭りのルーツを巡り、その土地の文化を実感できるコースをご紹介します。これらの祭りを通じて、地域の伝統や歴史を深く理解し、その魅力を感じることができる貴重な体験となるでしょう。
かつて岡部氏が治めた岸和田藩の中心地であった岸和田城は、1954年に復興された天守閣と美しい堀や石垣が特徴です。天守閣1階と2階は歴史資料の展示室となっており、最上階からは市街地の素晴らしい景色を一望できます。
岸和田市で有名な「だんじり祭」はとてもスリリングで、毎年9月中旬(海側)と10月中旬(山側)に開催されます。高さ4mの木製の地車(だんじり)が街中を勢いよく引き回される様子は圧巻です。大屋根の上で、大工方がダイナミックなパフォーマンスを披露する姿が観客をさらに魅了します。夜になると、提灯で装飾されただんじりが光に包まれた街をゆっくりと練り歩き、一層幻想的な雰囲気が楽しめます。
岸和田城近くに位置するこの会館では、だんじり祭について深く学ぶことができます。繊細な彫刻が施された地車や祭の道具の展示、さらには祭の様子を映像で体験できます。また、祭り用の法被を試着したり、だんじりに乗って写真を撮ったり、太鼓や鉦などの祭りの楽器を体験することも可能です。
岸和田城の近くにある「公諷庵」は、1917年創設の大阪府最古の能楽堂「杉江能楽堂」の中という珍しい場所にあるレストランです。能の公演がないときでも、能舞台を眺めながら静かな雰囲気の中で日本料理を楽しむことができます。舞台には松や梅、竹の美しい背景画や能面が飾られています。
岸和田城の丸広場観光交流センターでは、甲冑体験が楽しめます。フル装備で甲冑を身につけて、武将気分で岸和田城や二の丸広場などを散策、写真撮影ができます。
岸和田城の近くに位置する岸城神社は、太陽の女神・天照大神を祀る神社で、だんじり祭はこの神社の例大祭となっています。静かで落ち着いた雰囲気の中で参拝を楽しむことができます。
1日の終わりには、関西空港近くの「スターゲイトホテル関西空港」で宿泊しましょう。この四つ星ホテルは、広々とした客室から大阪湾や市街地の絶景を楽しめるだけでなく、54階のレストランで絶品の朝食ビュッフェを味わうことができます。また、近隣にはプレミアムアウトレットなどのショッピングスポットも充実しています。
阿波おどりは400年を超える歴史を持つといわれる徳島発祥の盆踊りで、今では町おこしの一環として全国各地で開催されています。町全体が踊りの熱狂につつまれ、町を踊り手が練り歩く流し踊りやステージなどで、優雅でしなやかに舞う女踊り、豪快で自由奔放な男踊りなど、多様なスタイルのパフォーマンスが楽しめます。本場・徳島市では8月11日から15日までの5日間開催され、市中心部には一年を通して阿波おどりを楽しめる阿波おどり会館もあります。
ホテルをチェックアウト後、和歌山港より徳島港まで約2時間15分のフェリー旅を楽しむことができます。他の地域からはバスや電車での移動も便利です。
徳島到着後は、爽やかな風が気持ち良いガイド付きのサイクリングツアーに参加しましょう。徳島城跡に開設された徳島中央公園など市内の観光名所を巡るこの2時間のツアーでは、地域のことを深く知るガイドとめぐるからこそ、新たな地域の魅力を発見できます。
ツアーの途中では、徳島の歴史ある甘味処「和田の屋」に立ち寄ることができます。ここでは、徳島藩の歴代藩主にも愛され、400年の歴史を経ても変わらない製法と素材にこだわった「滝の焼餅」が楽しめます。もちもちとしたお餅の中に甘い小豆餡が詰められた焼餅には、プレーン、抹茶、ごまの3種類の味があり、抹茶と共にいただくと格別です。店内からは眉山のふもとにある滝の景色も楽しめます。
阿波おどり会館では、1年中阿波おどりの実演が観られるほか、阿波おどりの歴史や文化を学ぶことができる体験型の展示も充実しています。鳴り物(楽器)を演奏してみたり、踊りのステップを学んだりすることで、阿波おどりの魅力をより深く味わえます。1階には徳島名物のお土産が豊富に揃っています。
宿泊は鳴門のビーチフロントにある「アオアヲ ナルト リゾート」で。広々とした客室からはオーシャンビューが楽しめ、露天風呂や展望風呂で旅の疲れを癒せます。毎夜には、阿波おどり連(グループ)が披露する公演も鑑賞できます。徳島の伝統文化に触れるひとときをお楽しみください。
鳴門海峡に発生する迫力満点の渦潮には、直径20メートルに達するものもあります。観潮船に乗り、間近で渦巻く海のダイナミックな光景を堪能しましょう。また、大鳴門橋の「渦の道」では、海面から45メートルの高さに設けられた全長450メートルの遊歩道で潮風や波音を感じながら、ガラス床越しに渦潮を体感することができます。
渦の道入口近くに広がる鳴門公園は、世界三大潮流に数えられ、渦潮で有名な鳴門海峡や大鳴門橋の美しい景色を楽しめる人気スポットです。
徳島市内に戻り、国の重要無形民俗文化財にも指定されている伝統的な阿波人形浄瑠璃を体験できる「阿波十郎兵衛屋敷」を訪れましょう。阿波の人形浄瑠璃は約400年の歴史を持ち、情感たっぷりの太夫の語りと三味線に合わせて人形を動かし、人物の微妙な感情の変化まで表現する職人技は圧巻です。英語と日本語の字幕表示もあり、海外の方だけでなく、伝統芸能になじみのない日本の方も公演を楽しめます。また、館内の展示室では、人形の頭や衣装、太夫、三味線の道具などの展示や映像を通じて、阿波人形浄瑠璃の歴史や技術について学べます。
旅の締めくくりに、藍住町の「藍の館」を訪問しましょう。ここではかつて藍の栽培が隆盛を極め、全国的に広まった阿波藍の歴史を学び、藍染めのハンカチ作りを体験できます。日本の三大暴れ川に数えられる吉野川の洪水がもたらした肥沃な土壌、温暖な気候により、阿波藍を育て、藍の取引を通じた全国各地との交流を背景に、阿波おどりや阿波人形浄瑠璃などの文化が育まれていきました。この体験を通じて、日本の芸術的遺産との特別なつながりを感じてください。