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【徳島県】徳島の山間で、スローな暮らしを実感する旅

【徳島県】徳島の山間で、スローな暮らしを実感する旅

最終更新

四国山地の南東山地、徳島県上勝町。ここは過疎化が進み、限界集落と呼ばれる町です。しかし、この地方は1980年台から、新たな価値を創造する取り組みを継続しています。
豊かな自然を利用し、「つまもの」と呼ばれる日本料理を華やかに彩る季節ごとの葉や花などに使われる野草を、老人たちが手折っては出荷する葉っぱビジネスや、2003年に宣言された、廃棄物を低減しゴミゼロを目指す「ゼロ・ウェイスト宣言」以来、再び息を吹き返しつつあります。
町内には、持続可能な資源活用を目指す拠点「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」や地域食材や無駄になってしまう食材を活用してビール作りに勤しむ醸造所など、先進的な設備と人が集まっています。この町の魅力は、こうしたサスティナブルな技術だけに頼るだけでなく、伝統的な日本の暮らしとうまく共存している点にあります。
上勝町の人びとのスローで等身大の暮らしを体感しながら、持続可能な未来を目指す心豊かな旅に出かけてみませんか?

目次

DAY1

7:30 まずは大阪市内で、レンタカーを借りて出発。

大阪市内でレンタカーを借りて、徳島へと出発。約3時間のドライブを楽しみつつ目的地を目指していきます。

11:00 「~ゼロ・ウェイストをとことん楽しむ~ 地産地消のクラフトビールRISE & WINブルワリー見学とBBQランチツアー」で、サスティナブルな町の魅力を味わう。

ブルワリーの象徴である「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」。上勝町内の廃材や不要になった建具を再利用して建てられたもの。それぞれに違う窓の形や空き瓶で作られたシャンデリアが素敵!

ブルワリーの象徴である「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」。上勝町内の廃材や不要になった建具を再利用して建てられたもの。それぞれに違う窓の形や空き瓶で作られたシャンデリアが素敵!

ブルワリーの象徴である「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」。上勝町内の廃材や不要になった建具を再利用して建てられたもの。それぞれに違う窓の形や空き瓶で作られたシャンデリアが素敵!

大阪の街並みから兵庫の海沿いへと変わる車窓の景色。やがて世界で二番目に長い吊り橋である、明石海峡大橋と渦潮が飛沫をたてる大鳴門橋を過ぎれば、徳島県に上陸です。
その中心部からさらに40分ほど、山道を進んでいくと上勝町に到着します。上勝町の玄関口にあるのが、ゼロ・ウェイストの理想を掲げてクラフトビール作りに取り組む、「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」です。象徴的な赤い建物の店舗で受付を済ませたら、再び車に乗って15分ほどの場所にある、かつての製材所をリノベーションしたブルワリー「STONEWALL HILL」へ向かいます。

製材所の広大な敷地を利用したブルワリー

製材所の広大な敷地を利用したブルワリー

ブルワリー内についたら、ビール醸造のレクチャーを受けながら、ビール作りを学ぶ

ブルワリー内についたら、ビール醸造のレクチャーを受けながら、ビール作りを学ぶ

ブルワリーでは、上勝町の清らかな水を使用して多彩なクラフトビールを醸造しています。特に規格外になった農作物やコーヒーかすなど、廃棄されるはずの食材をビールのフレーバーとして活用する挑戦的なビール作りを行なっているそう。
また、ビールには珍しく木樽を用いたバレルエイジングを行なっているバレルルームの中も見学できます。このエイジングに利用された樽は、ほかのワイナリーやウィスキー蒸溜所で使用されたもので、ビールに豊かな風味を加えてくれるそう。さらにこの樽を最初の醸造元に戻し、今度はビールの風味が深みを加えるウィスキーなどの熟成に使用されるといった、アップサイクルの輪も形成されているといいます。
廃棄予定の物を使用したビールと聞かされると、ちょっと身構えてしまいましたが、作り手さんのお話を伺い、清潔感あふれる醸造所内や建築家が作り上げたテイスティングルームを巡る中でその想いは氷解。なにより、出来立てのビールをひと口いただいた時点で、不安はこれまでにない美味しさを味わった感動に変わりました。

徳島県産の食材にこだわったBBQ。味の濃い野菜のグリルや、上勝町特産の椎茸は他では味わえない地産地消ならではの風味

徳島県産の食材にこだわったBBQ。味の濃い野菜のグリルや、上勝町特産の椎茸は他では味わえない地産地消ならではの風味

ブルワリーの見学が終わったら、「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」の庭でバーベキュー! 上勝町で採れた野菜をはじめ、徳島県産の阿波鶏などを贅沢に炭火で焼いていただきます。もちろん、BBQと合わせて出来立てのクラフトビールを楽しむこともできます。車を運転する方にはソフトドリンクも用意されているのでご安心を。店舗内には、瓶詰めされたクラフトビールも販売されており、時期によってリリースされるアイテムが変わるので、訪れた季節だけの味覚に出会えます。 宿に着いた際のお楽しみ用と、旅のお土産に購入して次のスポットへと向かいます。

IPAやヴァイツェン、ピルスナーなどのビールの種類はもちろんフレーバーも多彩

IPAやヴァイツェン、ピルスナーなどのビールの種類はもちろんフレーバーも多彩

なお、「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」では、ロッジやキャンピングカーに宿泊することもできます。この町ののどかで清らかな景観と、ビールの美味しさに感動したブルワリー見学。次回訪問した時には、この庭に宿泊したくなりました。

遮るもののない高い空と、上勝町の緑豊かな景色が広がる庭。清々しい空気を吸いながら、BBQが楽しめる

遮るもののない高い空と、上勝町の緑豊かな景色が広がる庭。清々しい空気を吸いながら、BBQが楽しめる

基本情報

名称
RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store
URL
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16:00 「〜上勝発・日本の食文化を楽しむ〜 いろどり山散策といろどり体験付きディナー (月ヶ谷温泉「月の宿」)」で和食の美意識を体感

上勝町の山野の草木で重箱を彩りながら、和食のもつ美意識の世界を体験

上勝町の山野の草木で重箱を彩りながら、和食のもつ美意識の世界を体験

懐石料理などの和食では、客をもてなすための季節感と彩りを重視します。
その季節感の演出に一役買ってくれるのが、「つまもの」と呼ばれる草花です。上勝町はこの草花の名産地として有名。その多くをこの町の高齢者が育て、収穫しているのだそうです。
30年以上前に始まったこのビジネスは、今では高齢者がいきいきと働き続けるための重要な産業となり、現在では「いろどり」ブランドとして確立、京都や東京をはじめ日本全国の料亭で愛用されているといいます。

ブルワリーから車で10分ほどのところにある、今日の宿泊先の「月の宿」に着いたら早速チェックイン。その後、宿のスタッフさんに案内していただき、宿のほど近くにある渓谷へと出かけました。

さらさらと心地よい音を立てて、流れる渓流に渡された吊り橋、「いろどり橋」周辺が次の体験のポイントです。小鳥のさえずりや木漏れ日が降り注ぐ美しい渓谷と林を歩き、上勝の産業についてのお話を聞きながら、自分が気に入った美しい草花を集めます。

自分の感性を活かして豊かな自然が残る上勝町を散策しながら、食膳を彩る季節の草花を採取

自分の感性を活かして豊かな自然が残る上勝町を散策しながら、食膳を彩る季節の草花を採取

自然の中を歩いた爽快感と、心地よい疲れを感じて宿に帰ると、そこには徳島に伝わる、小さな手提げ重箱「遊山箱」を使った特別な夕食が用意されています。これぞ和食という、鮮やかな料理が並ぶ重箱を前に、自分が採った草花を「つまもの」として飾り付けていけば、気分は日本料理の包丁人。自分だけの食前アートが、その日の食事を一層楽しく美味しいものに変えてくれました。

基本情報

名称
月ヶ谷温泉「月の宿」
URL
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DAY2

9:00 「〜山の恵みと集落の伝統的な暮らしの伝承〜 八重地花野邸・里山体験ツアー (かみかつ茅葺き学校)」で、古き良き時代の日本のスローライフを満喫!

然と人の暮らしが、寄り添いながら共存している上勝町をドライブして次のスポットへ

然と人の暮らしが、寄り添いながら共存している上勝町をドライブして次のスポットへ

翌日、贅を尽くした和食と心地よい温泉を堪能した宿を、後ろ髪を引かれる思いでチェックアウト。「月の宿」からさらに山の中を20分ほどドライブして、上勝の奥地にある次なる目的地、八重地集落を訪れました。ここは、近代化される前の日本の農村風景が今もなお残されている集落です。

まず見えてくるのは、斜面を利用して階段状水田を連ねた伝統的な「棚田」。八重地集落は台地状の地形を生かした丸い形の棚田が印象的です。
この古き良き山里で、人びとは今も暮らしを営んでいます。日が落ちれば、風呂を沸かすための薪の煙が上がり、灯りのついた家が深い闇をバックに浮かび上がる幻想的な景観が広がるそう。このタイムスリップしたかのような集落で、のんびりとした時間を過ごしていると、「ここは本当に現代の日本なのか?」と思えてきます。それと同時に、日本文化の根底にどれほど慎ましやかで丁寧な人びとの暮らしがあったのかということが、深く実感できました。

都市部ではもう見ることができない、日本の原風景が今も現役として残っている八重地集落

都市部ではもう見ることができない、日本の原風景が今も現役として残っている八重地集落

集落を散策してたどり着いたのは、棚田を見下ろす高台にある貴重な古民家「花野邸」。「花野邸」は、空き家であった民家を2011年に茅葺き屋根に再生された、上勝町内で唯一の伝統的な茅葺き民家です。縁側に腰掛けて小休止した後、今度は日本の伝統的な暮らしの体験に参加。今では、日本の昔話の中でしか出会うことがなくなった、蕎麦や小麦を引くための道具「石臼」を使って、コーヒー豆を挽いてみます。電動ミルを使えば一瞬で挽けるコーヒーも、石臼で引くのは大変な労力がかかります。それでも、時間をかけて石臼を回す体験は、無心になれる充実した時間をくれました。

日本で古くから使用されてきた石臼をコーヒーミルがわりに。苦労して入れたコーヒーの味は格別

日本で古くから使用されてきた石臼をコーヒーミルがわりに。苦労して入れたコーヒーの味は格別

基本情報

名称
かみかつ茅葺き学校
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13:00 道の駅「くるくる なると」で徳島の名産物を探して味わう

施設2階には遊具やジップライン(前日までにWebにて予約が必要)など、家族連れでも楽しめるアトラクションが揃う

施設2階には遊具やジップライン(前日までにWebにて予約が必要)など、家族連れでも楽しめるアトラクションが揃う

八重地集落でのゆるやかな時間を味わった後は、再び車に乗って徳島県の市街地へ向かいます。

道の駅「くるくる なると」は「”皆んながくるくる、笑顔になると”〜鳴門の美味しさで、世界に愛と笑顔と元気を伝えたい〜」をコンセプトに掲げる体験型食のテーマパークです。

道の駅前の徳島名物のさつまいも「なると金時」のオブジェは人気のフォトスポット

道の駅前の徳島名物のさつまいも「なると金時」のオブジェは人気のフォトスポット

「なると」という名称は、徳島県と淡路島の海峡で見られる渦潮に由来しており、その様子は徳島県を代表する景観として親しまれており、農産物などにもこの「なると」の名が冠されています。
施設には徳島の生産者や加工業者が、手塩にかけて育て、工夫を凝らして製品化した物品が数多く持ち寄られ、これを目当てに連日観光客はもちろん、地元の方も足繁く足を運んでいます。
また、施設には徳島名産のさつまいもや、渦潮が育む海の幸を模した遊具、さらにはジップラインといった、アトラクションも用意されており、買い物や食事だけでなく、地域の人が集い、憩い、遊ぶアミューズメントパークとしても機能しています。
地域活性の挑戦が詰まった物品、イベントが揃うこの施設に到着したら、まずはお食事を楽しみましょう。
ここでのおすすめは、主にすぐ近くの海から水揚げされた新鮮な魚介類や、徳島県名産の柑橘「スダチ」を使用して育てた「すだちぶり」を使ったお料理の数々! なかでも、施設内のレストラン「大渦食堂」で食べることができる海鮮丼は必食です。
総重量約2kg、ぶりやいくら、マグロやしらす、ウニなどが盛られた「くるくる大渦 海鮮絶景丼」や「すだちぶり」を刺身や炙りで堪能できる「ぶりぶり鰤丼」など、目移りしてしまうほど華やかなメニューが揃っています。

ボリューム満点の「くるくる大渦 海鮮絶景丼」。4人前〜5人前の大ボリューム

ボリューム満点の「くるくる大渦 海鮮絶景丼」。4人前〜5人前の大ボリューム

海鮮丼のお刺身は、ほのかな甘さとぶりや鯛のもつ濃厚な旨みが口いっぱいに広がります。ほかにも、施設内にはさつまいもを用いたソフトクリームをはじめ、徳島県の名産品を中心とした商品が2,000点以上も揃う施設内で、食後のスイーツ巡りやお土産探しを楽しみました。

海の幸だけでなく、スダチやさつまいもなどの農産物、さらにはおにぎり、店内で焼き上げたパンなど多彩な食品がずらりと並ぶ施設内

海の幸だけでなく、スダチやさつまいもなどの農産物、さらにはおにぎり、店内で焼き上げたパンなど多彩な食品がずらりと並ぶ施設内

基本情報

名称
道の駅 「くるくる なると」
住所
〒772-0042 徳島県鳴門市大津町備前島字蟹田の越338-1
TEL
088-685-9696
交通
鳴門ICから車で約5分
時間
9:00〜17:00
休み
無休
URL
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15:00 お遍路衣装でお参り体験!

荘厳な雰囲気に包まれる霊場。霊場とは、弘法大師空海が修行をしたと伝わる寺院のことを意味する

荘厳な雰囲気に包まれる霊場。霊場とは、弘法大師空海が修行をしたと伝わる寺院のことを意味する

「くるくるなると」から、市街地を車で15分ほど進むとたどり着くのが、「一番札所霊山寺」。徳島県のある四国地方には、「お遍路」と呼ばれる日本独自の巡礼の習慣が残されています。

「お遍路」は、日本の仏教の一派である真言宗の開祖、弘法大師(空海)が修行をしたと伝わる四国八十八ヶ所を巡る旅。お遍路が始まったのは、今から1200年以上前の平安時代とされ、当初は修行僧たちの巡礼であったものが、やがて親しい故人の冥福を祈る目的や、煩悩を払う儀礼、世俗を離れ、癒しを求める旅として、庶民にも浸透していきました。またお遍路には大きな特徴として、地域の人々が巡礼を行う人々を、見返りを求めることなくもてなす「お接待」という文化が存在します。
お遍路のもつ敬虔な修行体験に加え、この日本らしいもてなしと、地域の人々との交流を求めて、現在でも日本国内のみならず、海外からも多くの人々がこの祈りの道を辿っています。その旅で最初に訪れるべき場所がこの「霊山寺」なのです。
この寺院前の施設で、まずはお遍路専門ガイドによるお話を伺いました。お遍路はいつから始まったのか、人びとはどれくらい時間をかけてお遍路を巡るのか、またいつ頃からこの巡礼が始まったのか、質問を挟みながらお遍路の歴史や文化的な背景を勉強します。
勉強の後は、いよいよ実際の巡礼者である「お遍路さん」が身につける、「白衣」「輪袈裟」「金剛杖」「菅笠」などの装束をレンタルして身につけ、札に筆で名前を書いて寺院に納める体験に参加!

お遍路装束に身を包んで、霊場を参拝

お遍路装束に身を包んで、霊場を参拝

お遍路の装束に身を包んで、お参りをすると敬虔な気持ちになってきます。また、ガイドさんがお参りの方法を詳しく紹介してくれるので安心。仏教寺院のお参りの仕方や、文化的な理解も深められるので、その後の寺院参拝にも自信が持てるようになりました。

基本情報

名称
お遍路衣装でお参り体験!
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まとめ

徳島の人びとが持続可能な未来への挑戦を、肩肘を張ることなく自然体に行っているという姿勢に驚かされた、上勝町の旅。
もともと日本人の暮らしはものを大切に使い、長年にわたって受け継ぐサスティナブルなものでした。そんな昔の良い伝統を壊すことなく受け継ぎ、そこに新しい技術をうまく共存させることで、ゼロ・ウェイストや地域の文化的な魅力を再発見することができます。知識としてではなく、実感としてサスティナブルな暮らしの大切さを体感する旅に、ぜひ出かけてみませんか?

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