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【滋賀県】琵琶湖畔の暮らしや自然から、水の恵みを感じる旅

【滋賀県】琵琶湖畔の暮らしや自然から、水の恵みを感じる旅

最終更新

日本のほぼ中央に位置する滋賀県は、県土の約6分の1を日本最大の湖「琵琶湖」が占めることから、水の恵みをふんだんに感じられるエリアです。県内のあちこちで豊かな自然が育まれ、水の美しさから食文化も独自に発展。さらに奥深い歴史の物語とも出合うことができます。
初日は生水(しょうず)の郷・針江を中心にした高島市ツアー、2日目は琵琶湖でのアクティビティや歴史を知るひと時と、盛りだくさんの1泊2日旅をご紹介します。

目次

DAY1

7:47 JR大阪駅をスタート

JR大阪駅を出発し、JR京都線で滋賀県へと向かいます。徐々に、自然豊かな眺望を映し出し始める車窓。その頃には琵琶湖の西岸を走るJR湖西線へと直通し、高島市最北のマキノ駅で降車。ここから高島市コミュニティバスに乗り換えます。

10:14 自然美に包まれるドラマチックな並木道「メタセコイア並木」を散歩

まるでメタセコイアでつくられたトンネルを歩いているかのよう

まるでメタセコイアでつくられたトンネルを歩いているかのよう

「マキノピックランド」の停留所でバスを下車して10分ほど歩けば、最初のお目当て「メタセコイア並木」に到着します。

メタセコイア並木として知られるこの並木道は、果物狩りなどが楽しめる農業公園「マキノピックランド」を南北に走る県道小荒路牧野沢線のこと。約2.4kmにわたる道沿いに、約500本ものメタセコイアが植栽されています。

もとは1981年にマキノ町果樹生産組合が植えたことがはじまり。それを機に町の人びとの手で育まれ、延長が進んだことで現在の景観が生まれたといいます。目の前に広がるこの絶景は、地域の自然を大切にする思いの象徴に感じられてなりません。

訪れた11月は一面輝くような黄金色の葉がそよぎ、車道沿いの歩道をゆっくり散歩していると、何とも心癒やされます。

さらに秋が深まれば深紅の紅葉で魅せ、冬になれば雪景色、初夏はみずみずしい緑色……と、次に訪れる際は、どんな表情で迎えてくれるのか楽しみになるほどでした。

基本情報

名称
メタセコイア並木
住所
〒520-1833 滋賀県高島市マキノ町蛭口~牧野
TEL
マキノ農業公園マキノピックランド 0740-27-1811
交通
JR湖西線「マキノ駅」からバス約6分、「マキノピックランド」下車、徒歩約10分
料金
入場自由
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12:30 「いき生き水文化 かばた館」で新旭の郷土料理に触れる、満腹ランチタイム

囲炉裏が配されるなど、古き良き日本文化を感じる店内

囲炉裏が配されるなど、古き良き日本文化を感じる店内

再びマキノ駅へ戻り、新快速に乗車してJR湖西線を少し南下、新旭駅で下車。15分ほど歩いたらお楽しみのランチタイムです。

「いき生き水文化 かばた館」は郷土の味を守り続けてきた地元の商工会女性部らで運営され、新旭町の母なる味を楽しむことができます。入店すると、日本の古き良き家屋の空間が広がり、初めて訪れたのにどこか懐かしさを覚えました。

おすすめは高島市の名物料理をメインにした「とんちゃん定食」1,200円。鶏肉の味噌漬けを柔らかく焼き上げた「とんちゃん」はジューシーで、口いっぱいに旨みが広がり、次々頬張りたくなります。ご飯は香り高いだしにほのかに醤油を効かせた炊き込みご飯「しょいめし」か、白米を選べるそう。「しょいめし」は、沸騰した湯から炊く「湯だて式」という、新旭で古くから伝えられてきた製法でつくられ、何とも滋味深い味わい。食材は、琵琶湖の自然が育んだ地元のものをできるだけ取り入れ、素材の魅力を知り尽くしているからこその調理法で供されるメニューの数々に、この土地の魅力を五感いっぱいに感じることができました。

できるだけ地元産の食材を取り入れた定食は、ボリュームも満点!

できるだけ地元産の食材を取り入れた定食は、ボリュームも満点!

今回のいただいた「とんちゃん定食」以外にも、豊富なランチに喫茶メニューも充実しています。いつまでものんびりと過ごしたくなる居心地の良さも魅力で、また再訪したくなりました。

基本情報

名称
いき生き水文化 かばた館
住所
〒520-1501 滋賀県高島市新旭町旭707
TEL
0740-25-3790
交通
JR湖西線「新旭駅」から徒歩約15分
時間
11:00〜16:00、夜は要予約
休み
水曜、年始
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13:30 湧水の郷で、生活に欠かせない“かばた”を知る「琵琶湖とともにある暮らし・針江生水の郷「かばた見学」ツアー」に参加!

針江地区の中心地、中央公園近くには水車が回るのどかな光景が広がる

針江地区の中心地、中央公園近くには水車が回るのどかな光景が広がる

続いては「いき生き水文化 かばた館」から約15分歩いて、「針江公民館」へ。

入口正面の左にある窓口で受付を済ませ、地元のガイドとめぐる『かばた見学ツアー』へと出発! 
「かばた」とは、各家庭にあるこんこんと水が湧くスポットで、その水を生活用水に使用するシステム“川端=かばた”のこと。特に、この針江地区のかばたに湧く水を“生水=しょうず”と呼び、その美しさは『平成の名水百選』に挙げられるほど。かばた自体は日本全国にあるものでしたが、今でも現役かつ見学ツアーで直に触れられる針江地区は、とても希少な存在です。

かばたで豆腐を冷やしている様子。調理を行ったりする場でもある

かばたで豆腐を冷やしている様子。調理を行ったりする場でもある

料理に、飲み水に、また食材を入れて冷やすなど、かばたの多様な活用方法を伺いながら、昔日の日本の暮らしの面影を感じます。途中、水の試飲もすすめてくださり、そのまろやかな口当たりは、自然がくれた優しさが体にすっと染み渡るようでした。このような清らかな水が身近にある針江地区に暮らす人びとを、少し羨ましく思いました。
地区の中央を流れる針江大川や各水路は、底までしっかり視認できるほど澄みわたり、じっと観察すれば淡水魚のヨシノボリを発見。ほかにも清流に群生する水草のバイカモなども見ることができました。

市の水道と、針江の地下水を飲み比べられるところも

市の水道と、針江の地下水を飲み比べられるところも

魚の加工販売所「おさかな旭」や湧水を用いた「上原豆腐店」などを訪れ、湧水が育む食にも触れながら、ツアー最後には「正伝寺」へ。石像を配した「亀ケ池」では水が湧く様子を見学。その波紋の大きさからも、水がもたらす生命力をふつふつと感じることができました。約1時間少々のツアーは、話題の尽きない案内人のおかげであっという間に感じられました。

薬師如来の石像が見守る、「亀ケ池」の湧水は見どころだ

薬師如来の石像が見守る、「亀ケ池」の湧水は見どころだ

詳細な資料を交えながら、ユーモアたっぷりにガイドしてくれる

詳細な資料を交えながら、ユーモアたっぷりにガイドしてくれる

基本情報

名称
針江生水の郷「かばた見学」ツアー
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備考
・針江の「かばた」は個人宅の施設のため、当委員会のツアー以外で見学できる場所はありません。
・見学ご希望の方は1週間前までにお申し込みください。開始時間は10:00−14:00の1日2回、料金は大人1,000円です。
・ツアーは毎週月曜、年末年始、地域行事開催日は実施しません。
・集落内に車の駐車場はありません。見学ツアーに申し込んでいただいた方には受付の際に駐車場をご案内します。
・ガイドツアーは基本的に日本語ですが、英語対応ができるガイドもいます。ご希望の場合は早めにお申し出ください。

17:15 雄大な湖を臨む「琵琶湖ホテル」で、絶品「近江牛」に舌鼓

どの部屋からも琵琶湖が眺められる抜群のロケーション

どの部屋からも琵琶湖が眺められる抜群のロケーション

ツアー終了後は新旭駅から湖西線新快速に乗車してJR大津駅へ。今宵のお宿「琵琶湖ホテル」へと移動します。

湖畔のリゾートとして名高いお宿とあって、近づくにつれどのような景色に出合えるのかと心が躍ります。特に楽しみにしていたのは、美食を堪能できるレストラン。今回は日本三大和牛のひとつ「近江牛」を味わえる宿泊プランに申し込みました。琵琶湖の湖畔にある自然豊かな地で育った「近江牛」は、なめらかな肉質と甘くしつこさのない脂が特徴といわれています。鉄板で贅沢に焼き上げ、その魅力を存分に味わい尽くしました。湖畔の静謐な景観に抱かれながら就寝。一日の疲れが吹き飛ぶようでした。

地産地消にこだわった素材を、ライブ感ある鉄板カウンターで提供

地産地消にこだわった素材を、ライブ感ある鉄板カウンターで提供

基本情報

名称
琵琶湖ホテル
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DAY2

9:10 自然をじっくり観察しながら、エコブルーツアー「びわ湖の多様な自然を満喫!アドベンチャーカヤックツアー」で琵琶湖を大冒険

琵琶湖の原風景のひとつ、群生する「ヨシ原帯」を目指す

琵琶湖の原風景のひとつ、群生する「ヨシ原帯」を目指す

2日目の最初の目的は、ウォーター・アクティビティへの参加。JR大津駅から湖西線でおごと温泉駅へ。15分ほど歩いて琵琶湖最大規模の水上アクティビティや自然体験の学習施設「オーパル」へと向かいます。

フロントでチェックイン後、濡れても良い服に着替え準備は万端。今回のアクティビティは、湖上をカヤックで冒険するツアーで、事前にしっかり漕ぎ方のレクチャーを受けられるため初心者でも心配は無用。目標地は、琵琶湖の水質浄化に貢献し、多様な生き物の生息地でもある「ヨシ原帯」です。さまざまな湖魚や鳥類を間近で観察することもでき、カヤックならではの体験に心躍るようなひと時を楽しみます。湖上での記念撮影や、帰着後にはヨシ紙を使ってのクラフト体験などもあり、充実の時間となりました。

多種多様な植物や野生動物を観察しながら漕ぎ進む

多種多様な植物や野生動物を観察しながら漕ぎ進む

ヨシ原帯から刈り取り加工したヨシ紙でLEDランプシェード作り

ヨシ原帯から刈り取り加工したヨシ紙でLEDランプシェード作り

基本情報

名称
エコブルーツアー「びわ湖の多様な自然を満喫!アドベンチャーカヤックツアー」
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12:20 比叡山エリアを代表する、連綿と続く手打ち蕎麦の名店「手打蕎麦鶴㐂」で昼食

「比叡山延暦寺」の門前町である大津市坂本を代表する名店

「比叡山延暦寺」の門前町である大津市坂本を代表する名店

童心に返ってレイク・アクティビティを満喫したあとは、お楽しみのランチタイム。おごと温泉駅からJR湖西線で比叡山坂本駅へ。大津市と京都市にまたがる比叡山エリアへと足を踏み入れます。

江戸時代1716年、「比叡山延暦寺」の僧侶だった鶴屋喜八が創業し、以来300年にわたって伝統の手打ちそばを守り続ける老舗を訪問します。この坂本の地は、比叡山延暦寺の台所ともいえる門前町で、かつては食べる物にも不自由だった山上のため、蕎麦を作りに仕出しへ行っていたことが始まりだとか。比叡山で修行を終えた僧たちが、弱った胃にもやさしい食べ物として蕎麦を重宝していたという言い伝えもあり、三世紀にかけて多くの人がこの蕎麦を大切に食してきたことがわかります。
そんな同店の特徴は、蕎麦粉選びや配合からこだわり抜いた蕎麦。それらを手間ひまかけて手打ちするゆえの食感の良さは一口目から驚くほど。さばやうるめ、めじか、鰹の厚削りのブレンドに利尻昆布を加えただし、地元産の醤油を使用するなど、細部まで追求され尽くした味わいはここでしか出合えないもの。まさに旅の醍醐味といえます。

素敵な縁を結ぶ一助に……、との思いを込めた名物「近江結味そば」

素敵な縁を結ぶ一助に……、との思いを込めた名物「近江結味そば」

海老の天ぷら、比叡湯葉と生麩、おろしの3種の蕎麦が楽しめる「近江結味そば」1,860円や、滋賀県高島産の近江鴨を使った「鴨なんばんそば」1,980円など、メニューも豊富。入母屋造の情緒漂う店舗は明治20年(1887)ごろに建てられたもので、登録有形文化財に指定されています。庭の眺めにも目を奪われ、蕎麦を待つ時間もあっという間でした。

歴史の息吹がそこかしこに感じられる登録有形文化財の建物

歴史の息吹がそこかしこに感じられる登録有形文化財の建物

基本情報

名称
手打蕎麦鶴㐂
住所
〒520-0113 滋賀県大津市坂本4-11-40
TEL
077-578-0002(11:00〜15:00の電話はご遠慮ください)
交通
1)京阪「比叡山口駅」から徒歩3分
2)JR「比叡山坂本駅」から徒歩10分
3)ケーブル「坂本駅」から徒歩10分
4)161号船バイパス坂本北ICから車で2分
時間
11:00〜16:00(LO15:30)※時期により変動するため、公式サイトにて要確認
休み
元旦、そのほか定休日は公式サイトにて要確認
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14:00 日本一のケーブルカー「坂本ケーブル」が導く、比叡山と琵琶湖が成す絶景

「ケーブル延暦寺駅」にある展望テラス「山のデッキ」からの絶景

「ケーブル延暦寺駅」にある展望テラス「山のデッキ」からの絶景

腹ごしらえのあとは、比叡山延暦寺への参拝を目指す旅路へ。標高848mの比叡山全域を境内とする広大な寺院のため、初めて訪れる場合はケーブルカーで向かうのがおすすめです。
「坂本ケーブル」と呼ばれているこちらのケーブルカーは、営業距離が約2Kmにも及び「日本一の長さ」を誇ります。目的の「ケーブル延暦寺駅」まで約11分。比叡山の豊かな自然を間近に感じつつ、頂上に近づくにつれて琵琶湖の遠景が顔をのぞかせ、その絶景は思わず息を呑むほどの美しさ。また、起点となる「ケーブル坂本駅」、終点の「ケーブル延暦寺駅」のどちらも、1927年の開業当時からの面影を残す駅舎で、国の登録有形文化財でもあります。
ケーブル延暦寺駅には展望テラスがあり、到着後、まずはその絶景を鑑賞。湖畔近くで暮らす人びとの間では水の恵みへの感謝はもちろん、清流には精気が宿るという考えが古くから根付いていたといいます。比叡山延暦寺でも水にまつわる行事があるなど、琵琶湖への敬意は深いもので、眼前に広がる美しい琵琶湖の姿からもその考えが継承されてきたことに大きく頷くばかりです。

中間地点では上りと下りの車両がすれ違う「ターンアウト」に注目!

中間地点では上りと下りの車両がすれ違う「ターンアウト」に注目!

基本情報

名称
坂本ケーブル
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14:20 1200年にわたる歴史を体感できる、世界遺産の山中寺院「比叡山延暦寺」

開創時から現代まで続く修行の場として、厳粛な空気が漂う

開創時から現代まで続く修行の場として、厳粛な空気が漂う

ケーブルカーに乗り、「ケーブル延暦寺駅」で下車して歩くこと約10分。旅の最終目的地「比叡山延暦寺」へと到着です。

奈良時代末期である延暦7年(788)に、最澄が開創した天台宗の総本山。人材育成に優れた道場だったことから、法然や親鸞、日蓮といったさまざまな日本仏教の宗派をつくりあげた名僧を輩出し、日本仏教の母山とも呼ばれています。1994年にはユネスコ世界文化遺産に認定されました。寺院全体は、東塔(とうどう)・西塔(さいとう)・横川(よかわ)の3エリアに分かれ、周囲は約100km、境内は約1,700haもの広さを誇ります。

旅するタイミングによっては、厳かな法要の場に立ち会えることも

旅するタイミングによっては、厳かな法要の場に立ち会えることも

東塔エリアを代表するのは延暦寺最大の仏堂「根本中堂」。1200年にわたり灯し続ける灯明「不滅の法灯」は心に安らぎを与えてくれます。延暦寺に伝来する文化財を保管する「国宝殿」では、仏像・仏画・書跡などが展示されており、寺の歴史を垣間見ることができました。
西塔エリアには、延暦寺最古の建物「釈迦堂(転法輪堂)」があり、最澄自作と伝わる本尊釈迦如来を安置しています。戦国時代の厳かな空気が漂い、自然と身が引き締まります。
また、横川エリアには本堂の「横川中堂」があります。こちらは、遣唐使船をモデルにしており、まるで宙に浮かんでいるように見える舞台造りや、その周囲を彩る自然との調和には畏敬の念を抱かずにはいられません。

国の重要文化財に指定されている西塔エリアの「浄土院」

国の重要文化財に指定されている西塔エリアの「浄土院」

そんな代表的な建造物を含め、比叡山延暦寺には150以上ものお堂があり、じっくり巡ると約4時間はかかります。今回訪れたのは、そのなかでも代表的な場所ばかり。こちらを参考に訪れてみるのもおすすめです。3エリア間の移動は、30分おきに走るシャトルバスを利用すると効率よく巡ることができます(片道700円、1日乗車券1,000円。12月上旬〜1月は一部運行、1月〜3月中旬は運休)。時代を超えた建造物や祈りの文化に触れる感動を味わえるだけでなく、四季折々の自然の美しさを体感しながら心身を癒すことができる。比叡山延暦寺は、歴史と自然が織りなす贅沢な時間を楽しめる場所でした。

東塔エリアにある「法華総持院東塔」。春には枝垂れ桜が彩る

東塔エリアにある「法華総持院東塔」。春には枝垂れ桜が彩る

基本情報

名称
比叡山延暦寺
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まとめ

水が成す昔日の日本の暮らしの風景を知り、アクティビティを通して琵琶湖の恵みを直接感じ、さらに歴史の息吹を荘厳な山岳寺院で学ぶ。湖国・滋賀の魅力を多角的に感じることができた1泊2日ツアーとなりました。季節ごとに異なる表情で楽しませてくれるこの地を実際に訪れて、その魅力をぜひ体感してみてください。

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