関西の伝統芸能&伝統行事10選

関西の伝統芸能&伝統行事10選

2025年01月18日

The KANSAI Guide

日本に古くから伝わり、現在まで受け継がれている数々の伝統芸能や伝統行事。

発祥の地で演じられる歌舞伎やその土地で発展を遂げた人形浄瑠璃、見る人を魅了する花火、迫力に圧倒される祭りなど、関西各地では現在でも日本の伝統芸能や行事に触れることができます。

ここでは、関西を代表する10の伝統芸能と伝統行事を紹介します。その意味や起源を事前に知り、より深く楽しんでください。

【福井】巨大な山車人形の迫力に圧倒される「三国祭」

江戸時代から明治時代にかけて北前船の寄港地として栄えた港町、福井県坂井市三国町。今でも豪商の邸宅などの歴史的建造物が残る、情緒あふれる町並みも魅力です。

毎年5月には、三国湊の総氏神・山王宮を祀る三國神社で「三国祭」が開催。北陸三大祭りのひとつで、北前船の船主でもあった町衆が山車人形などを奉納したことがはじまりとされています。

武将などをモチーフにした巨大な山車人形は迫力満点

武将などをモチーフにした巨大な山車人形は迫力満点

約300年の歴史を誇り、県の無形民俗文化財に指定される祭りの見どころは、20日に行われる山車巡行。まず、巨大な武者人形が乗った高さ6.5mもの山車が、三味線、笛、太鼓ばやしに乗って三國神社前に集結。神輿・山車発幸祭が執り行われた後、6基の山車が順次巡行を開始します。山車人形は毎年作り替えられるため、一度限りで見納めです。

期間中は地元の特産品やご当地グルメを販売する300軒以上の露店や特産品・ご当地グルメを販売する屋台・キッチンカーが並ぶほか、多彩なイベントも開催されるので、あわせて楽しみましょう。

祭囃子は地元の子どもたちが奏でる

祭囃子は地元の子どもたちが奏でる

【三国祭】

アクセス
えちぜん鉄道「三国」駅から無料シャトルバス
開催日・開催時期
5月15日~5月21日
公式サイト
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【三重】世界遺産を舞台に繰り広げられる「熊野大花火大会」

三重県南部に位置する熊野市は、南西を海、北東を山に囲まれた自然豊かなエリア。熊野古道をはじめ、ユネスコ世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録される史跡も数多く点在します。その構成遺産である七里御浜、鬼ヶ城を舞台にして開催されるのが、約1万発の花火が夜空を染める「熊野大花火大会」です。

2時間にわたり1万発が打ち上げられる

2時間にわたり1万発が打ち上げられる

300年以上の歴史を有するこの行事は、お盆の初精霊供養に簡単な花火を打ち上げ、その花火の粉で燈籠焼を行ったことがはじまりとされています。

全速力で走る船の上から、海上に向かって次々と花火を投げ入れる「海上自爆」では、海上に次々と半円形の花火が咲き誇ります。

海上に花火が咲く「海上自爆」

海上に花火が咲く「海上自爆」

鬼ヶ城の岩場や洞窟を利用して花火を打ち上げる「鬼ヶ城大仕掛け」も見どころのひとつ。鬼ヶ城の岩場に花火玉を直に置いて爆発させる「鬼ヶ城大地爆」では、音と光の衝撃が会場を包み込みます。

夜空を青色に染める打ち上げ花火も

夜空を青色に染める打ち上げ花火も

【熊野大花火大会】

アクセス
JR「熊野市」駅から徒歩9分
開催日・開催時期
毎年8月
公式サイト
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【滋賀】精巧なからくり人形に魅了される「大津祭」

日本最大の湖・琵琶湖があり、湖国とも呼ばれる滋賀県の西南に位置する大津市。比叡山延暦寺日吉大社などの歴史的名所が点在するほか、近江八景とよばれる美しい湖景でも知られています。

豪華な曳山が大津市街地を巡行する

豪華な曳山が大津市街地を巡行する

そんな大津市を代表する伝統行事が、湖国三大祭りのひとつに数えられる「大津祭」。300年以上の歴史があり、国の重要無形民俗文化財に指定されています。祭りの目玉は、本祭で行われる曳山巡行。江戸時代に制作された13基の豪華絢爛な曳山が今も受け継がれており、町ごとに異なる装飾や彫刻で飾られています。

20箇所以上でからくり人形による所望を披露

20箇所以上でからくり人形による所望を披露

また、曳山の上に乗せられた精巧なからくり人形も見もの。本祭の巡行中、数カ所で立ち止まりからくりを演じる所望(しょうもん)が行われます。

曳山の上から厄よけ粽が撒かれる

曳山の上から厄よけ粽が撒かれる

【大津祭】

アクセス
JR「大津」駅北側
開催日・開催時期
本祭:10月スポーツの日の前日、宵宮:本祭の前日
公式サイト
公式サイト

【京都】日本最古の劇場「南座」で「歌舞伎」の世界を堪能

清水寺や金閣など、ユネスコ世界文化遺産をはじめ、多くの歴史的建造物が点在し日本の伝統と文化を感じることができる京都。茶道や華道といった日本の伝統芸能の発展にも多くの影響を与えてきた古の都です。「歌舞伎」もそのひとつで、1603年に出雲阿国が京都で「かぶき踊り」を披露したのがはじまりとされます。

手動で開閉される「定式幕」。女性役は女方(おんながた)が務め、役者は男性のみ

手動で開閉される「定式幕」。女性役は女方(おんながた)が務め、役者は男性のみ

「歌舞伎」とは、豪華な衣裳や化粧で身を飾り、芝居、音楽、踊りといった3つの要素で観客たちを楽しませる日本の舞台芸術。花道や廻り舞台を使って繰り広げられる迫力ある演技も特徴で、演目は約300にものぼります。

迫りや廻り舞台などの仕掛けが施された舞台

迫りや廻り舞台などの仕掛けが施された舞台

歌舞伎発祥の地に建てられ、400年以上にわたり歌舞伎を上演し続けている「南座」。毎年12月に行われる「吉例顔見世興行」は京都の冬の風物詩にもなっています。

こちらでは、花道や廻り舞台を実際に体験できる「舞台体験ツアー」を定期的に開催。国の登録有形文化財に指定されている建物にも注目です。

花道やせりを体験できる「舞台体験ツアー」

花道やせりを体験できる「舞台体験ツアー」

桃山風の意匠を取り入れた外観にも注目

桃山風の意匠を取り入れた外観にも注目

【南座】

郵便番号
605-0075
住所
京都市東山区四条大橋東詰
電話番号
075-561-1155
アクセス
京阪「祇園四条」から徒歩すぐ
公式サイト
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【大阪】「岸和田だんじり祭」は勇壮な“やりまわし”が最大の見どころ

大阪府南部に位置し、江戸時代に岡部氏の城下町として栄えた岸和田市。「岸和田だんじり祭」は、市の代名詞になっているほど全国的に知名度のあるお祭りです。

岸和田藩主岡部長泰公が、五穀豊穣を祈願して行った稲荷祭がはじまりとされ、300年を超える歴史と伝統を誇ります。

迫力満点のやりまわし

迫力満点のやりまわし

祭りは、岸和田の8地区を、9月が浜手側、10月が山手側と2回に分けて開催。重さ4tを超えるだんじり(山車)を引っ張って進む「曳行」が行われる。曳行の最大の見どころは、勢いがついたまま道路の角を直角に曲がる「やりまわし」。前梃子、後梃子、大工方が息をぴったりとあわせ、スリル満点のやりまわしを成功させる。提灯に彩られた夜のだんじりも必見です。

夜は幻想的な雰囲気に

夜は幻想的な雰囲気に

祭り見物の前には「岸和田だんじり会館」に立ち寄るのもおすすめ。だんじりの装飾品の見学や鳴り物体験などができる施設で、祭り期間以外でも岸和田だんじり祭にふれることができる貴重なスポットです。

実物のだんじりが飾られる岸和田だんじり会館

実物のだんじりが飾られる岸和田だんじり会館

【岸和田だんじり祭】

アクセス
南海「岸和田」駅
開催日・開催時期
9月、10月
公式サイト
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【岸和田だんじり会館】

郵便番号
596-0074
住所
大阪府岸和田市本町11-23
電話番号
072-436-0914
営業時間
10:00分~17:00(最終入館16:00)
定休日
月曜(祝日の場合は開館)、12月29日~1月3日
料金
大人600円、小中学生300円
アクセス
南海「蛸地蔵」駅から徒歩7分、「岸和田」駅から徒歩15分
公式サイト
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【兵庫】1000年以上の歴史を持つ世界最古の音楽団体「雅楽」を初体験

兵庫県神戸市には旧居留地や神戸北野異人館があり、異国情緒が漂う一方、由緒高き神社のひとつとされる生田神社もあり、日本文化にも触れることができます。毎年12月頃には神戸市内の神社などで日本の伝統芸能である「雅楽」の定期公演を行っています。

演奏に合わせて舞を演じる舞楽「蘭陵王」

演奏に合わせて舞を演じる舞楽「蘭陵王」

雅楽とは、1000年以上の歴史を持つ世界最古の音楽団体で、宮内庁楽部の演奏する雅楽は2007年にユネスコ無形文化遺産に登録。打・管・絃楽器のみで演奏する「管絃」、管絃を伴奏に舞を演じる「舞楽」、管絃を伴奏に歌を歌う「歌謡」の3種類があります。

さまざまな楽器が使われる

さまざまな楽器が使われる

日本人でも普段あまり触れることが少ない雅楽だが、一般財団法人日本雅楽協会では、定期公演のほかにも積極的に公演を行い、イベントでの国歌「君が代」演奏、雅楽の楽器を体験できるワークショップなども実施しています。情報は公式サイトより info@gagaku.or.jp にてご相談の上、旅の日程を決めるのがおすすめです。  

雅楽の楽器や衣装に触れられるワークショップを開催

雅楽の楽器や衣装に触れられるワークショップを開催

【一般財団法人日本雅楽協会定期公演】

開催時期(開催場所)
毎年12月頃(生田神社・湊川神社・長田神社など)
公式サイト
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【奈良】古都奈良の早春の夜空を焦がす「若草山焼き行事」

日本最古の都・藤原京が置かれた奈良県。奈良市内には、世界文化遺産に登録された社寺が多く点在し、鹿に出会える奈良公園には春日大社東大寺などが隣接しています。その奈良公園の東側にそびえる若草山で、毎年1月第4日曜日に行われるのが「若草山焼き行事」です。

総勢約30名で行われる聖火行列

総勢約30名で行われる聖火行列

「若草山焼き行事」は、江戸時代から続く伝統行事で、若草山上にある鶯塚古墳に葬る霊魂を鎮めるためにはじまったともされています。

祭礼は、春日大社、興福寺、東大寺の僧侶たちが、春日大社の境内に設けられた「春日の大とんど」から御神火をもらい受けることからスタート。聖火行列を作り、野上神社、若草山へと御神火を運びます。

尺玉も打ち上げられる大花火

尺玉も打ち上げられる大花火

約600発の打ち上げ花火のあと、ラッパや法螺貝を合図に、約300名の奈良市消防団員が、大かがり火から松明に火を移し、若草山に一斉に点火。夜空を焦がすように山全体が炎に包まれる様子は圧巻の光景です。

法螺貝やラッパの合図で一斉に点火

法螺貝やラッパの合図で一斉に点火

【若草山焼き行事】

アクセス
JRまたは近鉄「奈良」駅からバスで「東大寺大仏殿・春日大社前」・「春日大社表参道」下車、徒歩約15分 ※当日は交通規制あり、詳しくはHPで確認
開催日・開催時期
毎年1月第4土曜
公式サイト
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【和歌山】460年の歴史を持つ紀州三大祭りのひとつ「田辺祭」

ユネスコ世界文化遺産に登録される「紀伊山地の霊場と参詣道」を有する和歌山県田辺市。構成遺産のひとつである「鬪雞神社(とうけいじんじゃ)」の例大祭として、紀南地方最大の祭礼ともいわれ、紀州三大祭りに数えられる「田辺祭」が開催されます。

「会津橋曳き揃え~曳き別れ」は田辺の夏の風物詩

「会津橋曳き揃え~曳き別れ」は田辺の夏の風物詩

一番の見どころは、華やかに装飾された8基の笠鉾が旧城下町を練り歩く笠鉾巡行。宵宮に行われる「会津橋曳き揃え~曳き別れ」では、赤提灯などでライトアップされた笠鉾が川面に映し出され、幻想的な雰囲気を醸し出します。本宮の夜には、鬪雞神社の境内に笠鉾が集結し、祭りのハイライトを迎えます。

鬪雞神社の境内に笠鉾集まる「宮入り」

鬪雞神社の境内に笠鉾集まる「宮入り」

ほかにも、神輿や馬が町内を練り歩く「神輿渡御」や、馬上から矢を射る「流鏑馬」など、2日間を通して多彩な行事が行われます。

祭りは神輿渡御からはじまる

祭りは神輿渡御からはじまる

【田辺祭】

アクセス
JR「紀伊田辺」駅から徒歩5分
開催日・開催時期
7月24日、25日
公式サイト
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【鳥取】紙雛に思いを込めて川に流す「流し雛」を体験

日本最大級の広さを誇る鳥取砂丘を擁する鳥取県鳥取市。その南部に位置する用瀬町には、日本海へと注ぐ千代川が流れ、河川敷では旧暦の3月3日に「流し雛」が行われます。

「流し雛」とは、平安時代から続く風習で、当時は人形(ひとがた)を使って災厄を川や海に流すことで厄払いを行っていました。

無病息災を願って紙雛を川に流す

無病息災を願って紙雛を川に流す

江戸時代にはじまったとされる用瀬町の流し雛は、無病息災を願って男女一対の紙雛を浅俵に乗せ、桃の小枝や椿の花などを添えて千代川に流します。“もちがせの流しびな”として、県の無形民俗文化財に指定されています。

流しびなの館では、流しびなづくり体験を実施。観光客も流しびなを購入してひな流し体験もできます。

もちがせの流しびなで使われる男女一対の紙雛

もちがせの流しびなで使われる男女一対の紙雛

行事当日には、町中に雛人形を飾る「まちなか雛めぐり」も開催。各時代の雛人形や加茂人形など、約1,000体が展示される流しびなの館にも立ち寄りましょう。

町のあちこちに雛人形が飾られる

町のあちこちに雛人形が飾られる

【流しびな行事】

アクセス
JR「用瀬」駅から徒歩8分
開催日・開催時期
旧暦3月3日
公式サイト
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【流しびなの館】

郵便番号
689-1211
住所
鳥取県鳥取市用瀬町別府32-1
電話番号
0858-87-3222
営業時間
9:00~17:00
定休日
水曜(祝日の場合は翌日)
料金
高校生以上300円、中学生以下 無料
アクセス
JR「用瀬」駅から徒歩8分
公式サイト
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【徳島】徳島県立阿波十郎兵衛屋敷で「阿波人形浄瑠璃」を鑑賞

400年以上の歴史を持つ阿波おどりが世界的にも有名な徳島県。その阿波おどりと双璧を成すのが、国の重要無形民俗文化財に指定されている「阿波人形浄瑠璃」です。

「人形浄瑠璃」とは、三味線の伴奏と太夫が語る物語にあわせて人形を操る人形劇の一種。1体の人形を3人で操るため、細かな動きはもちろん、心情までも伝わります。

3人の人形遣いによって人形を操る

3人の人形遣いによって人形を操る

徳島で発展した「阿波人形浄瑠璃」は、神社の境内に建てられた農村舞台で上演されるのが特徴。現存する人形芝居用の農村舞台の数は全国トップクラスで、今でも10箇所ほどの農村舞台で公演が行われています。

毎日公演が行われる阿波十郎兵衛屋敷

毎日公演が行われる阿波十郎兵衛屋敷

徳島市にある阿波十郎兵衛屋敷では、毎日定期公演「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」を上演。いつ訪れても人形浄瑠璃の公演を楽しめます。ほかにも、さまざまな演目を上演する特別公演や、特別展なども開催しています。

館内には人形や三味線を紹介する展示室も

館内には人形や三味線を紹介する展示室も

【徳島県立阿波十郎兵衛屋敷】

郵便番号
771-0114
住所
徳島県徳島市川内町宮島本浦184
電話番号
088-665-2202
営業時間
9:30~17:00(7月1日~8月31日は18:00まで)※最終入館は閉館30分前
定休日
12月31~1月3日、その他臨時休館あり
料金
大人410円、高大学生310円、小中学生200円(2025年4月以降変更の場合あり)
アクセス
JR「徳島」駅から川内循環バスで「十郎兵衛屋敷」下車、徒歩すぐ
公式サイト
公式サイト

まとめ

興味はありつつも気軽に触れることが難しい日本の伝統芸能や伝統行事。
知識が少しでもあれば、ハードルはぐっと下がるはず。旅をきっかけにして、ぜひ、日本の文化に触れてみてください。

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