徳島の日本酒物語 LED酵母でさらなる進化
2023年02月07日
毎年130万人もの観光客が訪れる盆踊り大会「阿波おどり」、珍しい地形や潮の流れが奇跡的に組み合わさって発生する「鳴門の渦潮」といった、世界に誇る文化・観光スポットが点在する徳島県。県内平野部には大小138の河川が流れ、上流から下流まで各所に歴史ある酒蔵が揃っているのも特筆すべき点であろう。大半の酒蔵では、地元産原材料100%で仕込んだ「阿波十割」と称される日本酒が勢揃い。酒蔵ごとで異なる甘辛濃淡の美酒を求めて、ほろ酔いのツアーを楽しみたい。
徳島県徳島市にある斎藤酒造場。こちらでは一級河川・吉野川の支流にあたる、鮎喰川の伏流水を使って酒造りが行われている。中口からやや甘口の日本酒は飲みやすく、鮎喰川の軟水の恩恵を存分に生かしたすっきりとした味わい。軟らかい口当たりが特徴で、和食はもちろん、洋風のメニューとのペアリングも大いに期待できる銘酒といえよう。
仕込みには水以外にも徳島県産の原材料がふんだんに。注目すべきは酒米で、一般的な酒造好適米に加え、徳島県で開発された「LED夢酵母」も積極的に取り入れている。これは「徳島県立工業技術センター」での研究の末に生まれた酵母で、清酒酵母にUV-LEDを照射し、一定の基準をクリアした優良品種のみを選抜して育てられたもの。香りや味が一際優れている酵母を用いた結果、受け継がれてきた美味しさに加えて洗練さとリッチなジューシー感、さらに酵母由来のさわやかさもプラスされ、より魅力的な一本へと進化を遂げた。
日本酒の主力銘柄は「御殿桜」で純米大吟醸を筆頭にさまざまなレパートリーを誇る。ちなみにこの名前は、かつて徳島県一帯を治めていた大名の蜂須賀氏の御殿周辺に咲く桜並木が由来。数千本にもおよぶ桜の木は、春の満開時に訪れた人々を魅了したといわれており、美しくて華やかな魅力にあやかってこう命名されたそうだ。定番の商品のほかにも、徳島県の名産である阿波和三盆糖がベースの「黒蜜リキュール」、日本酒を長期熟成させた「純米古酒」など個性派の展開にも力を入れ、今も昔も変わらず食事の名脇役として欠かせない酒造りに邁進する。
有限会社 斎藤酒造場
- 住所
- 〒770-0027 徳島県徳島市佐古七番町7-1
- 見学時間
- 8:00-20:00
- 定休日
- 日曜、年末年始
- 外国語HP
- なし
- 交通アクセス
- 関西国際空港から関空リムジンバスにて高速鳴門駅下車、高速鳴門駅からバスにて徳島駅下車、JR徳島駅からJR蔵本駅下車、徒歩約5分(所要時間目安:約190分)