「侘び寂び」って何?関西で日本人の美意識を感じられる景色5選

「侘び寂び」って何?関西で日本人の美意識を感じられる景色5選

2023年11月10日

The KANSAI Guide

日本文化特有の美学意識を端的に表現するとしたら、おそらく「侘び寂び」です。覚えやすく、口ずさみ易いこの言葉は、日本や日本美術に興味のある人なら誰でも知っています。その美は、日本庭園の石庭や苔、茶の湯または茶器、あるいは歴史ある美術・工芸品などにも見られ、質素の中にも秩序や尊敬が感じられる、古い中にも清潔で美しさがある、といったイメージがそこから想起されます。ここでは、そんな「侘び寂び」を感じさせる関西の景色を5つ、ご紹介します!

そもそも「侘び寂び」とは?

日本特有の美意識である「侘び寂び」。「侘び」とはつつましく、質素なものにこそ趣があると感じる心のこと。一方、「寂び」とは時間の経過によって表れる美しさを指します。この世のものは時が経つにつれ汚れたり、欠けたりして変化しますが、それを劣化と否定的にとらえず、変化が織りなす多様な美しさを「寂び」と呼び、肯定するのです。絢爛さや豪華さ、シンメトリーを美とする西洋の美意識に対して、「侘び寂び」に象徴される日本の美は、質素さや閑寂さ、非対称や余白を重んじます。こうした「侘び寂び」の美意識は、禅や茶の湯、絵画や庭園、美術工芸品など、日本文化と日本人の価値観に大きな影響を与えています。

「侘び寂び」の使い方

散り桜

桜舞う琵琶湖疎水

「侘び」と「寂び」は微妙にニュアンスの異なる言葉ですが、日常会話では、それらを総称して「侘び寂び」と表現することが一般的。たとえば、「桜が満開のときよりも、散っていく姿にこそ侘び寂びがある」とか「海岸で拾った流木に侘び寂びを感じて、インテリアとして飾った」、「夕暮れ時に街が朱色に色づき、刻刻と景色が変わっていく様子に詫び寂びを感じる」、などと表現します。

詫び寂びについてもっと知りたい方は、こちらのコラムもお勧めです。

「侘び寂び」を感じる景色

1.【庭園】金剛峯寺(和歌山)

水を使わずに、石や砂の組み合わせだけで自然の景観を表現する枯山水の庭は「侘び寂び」を感じさせる風景の典型です。国内にある枯山水の庭の中でも、最大級の規模を誇るのが高野山にある金剛峯寺の蟠龍庭(ばんりゅうてい)。2,340平方メートルの広々とした石の庭は、その名の通り向かい合う一対の竜の姿を花崗岩で、その間を流れゆく雲海を白川砂で表現。静かな中に迫力を感じさせる名庭です。

【施設名】 高野山真言宗総本山金剛峯寺
【開館時間】 8:30 am~5:00 pm(受付は4:30 pmまで)
【休館日】 無休
【価格】 大人500円、小学生200円、未就学児無料
【URL】
公式ホームページ
関西観光本部ホームページ
【住所】 和歌山県伊都郡高野町高野山132
【Google Map URL】 GoogleMap

2.【庭園】龍安寺(京都)

枯山水の庭園として、日本人が真っ先にその名前を挙げるのが、京都・龍安寺の方丈庭園。「石庭」という呼び名で親しまれ、大小15個の岩と敷き詰められた白砂が大海原の波間に浮かぶ島々を表しています。砂の上に置かれた岩は、どこから見ても14個にしか見えないように配置されていますので、ぜひ数えてみてください!

【施設名】 龍安寺
【開館時間】 8:00 am~5:00 pm(12月~2月は8:30 am~4:30 pm)
【休館日】 無休
【価格】 大人500円、小・中学生300円
【URL】
公式ホームページ
関西観光本部ホームページ
【住所】 京都府京都市右京区龍安寺御陵下町13
【Google Map URL】 GoogleMap

3.【苔】西芳寺(京都)

日本庭園や盆栽では、地面や岩の上にビロードのように生える苔に、自然の美しさを見出します。そんな苔の究極の美しさを楽しめるのが、苔寺という名でも親しまれている京都の古刹・西芳寺。境内の庭は落ち着いた緑色の苔でびっしりと覆われ、風情ある日本建築の建物とも相まって、水墨画を見るような侘びた風情を感じさせます。境内の拝観は要予約で、往復はがきのみでの受付。

【施設名】 西芳寺
【開館時間】 1日1回の開門(要予約で季節等により異なる)
【休館日】 不定休
【価格】 大人3,000円以上
【URL】 公式ホームページ(日本語のみ)
【住所】 京都府京都市西京区松尾神ケ谷町56
【Google Map URL】 GoogleMap

5.【紅葉】高源寺(兵庫県)

秋の深まりとともに、広葉樹の葉が赤や黄色に染まる紅葉の風景にも、日本人は古くから「侘び寂び」を感じてきました。そんな風景を楽しみたいのなら、ぜひ訪ねてみたいのが兵庫県にある高源寺。境内にある多宝塔の周囲の木々が、燃えるように赤や黄色に染まる風景は、息を呑むような美しさです!3~4日前までに予約をすれば、伝統的な僧侶の食事である精進料理も味わえますよ。

【施設名】 高源寺
【開館時間】 8:00 am~4:30 pm(5:00 pm閉門、10月~3月は8:30 amから)
【休館日】 無休
【価格】 大人300円、小・中学生100円
【URL】 公式ホームページ(日本語のみ)
【住所】 兵庫県丹波市青垣町松倉514
【Google Map URL】 GoogleMap

「侘び寂び」という美意識は、今回ご紹介した5つの景色以外にも、さまざまな日本文化に見てとれます。五感を研ぎ澄まして、この国ならではの美しい風景や事物を探す旅に出てみてはいかがでしょう。

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