大阪の日本酒物語 酒蔵という建築
2020年12月10日
大阪の日本酒物語_酒蔵という建築
木造建築の美しさはどこにあるのだろうか。外観の流線型、内側の入り組んだ柱や梁の構造、そして何よりも「生き方」に密着した「かたち」にあるのではないか、とよくいわれる。なかでも日本の建築美は寺社仏閣にあると思っている人でも、全国各地で百年以上の歴史をもつ一般家屋をみることができれば、その魅力の範囲が無限に広がると思うのではないだろうか。それほど生活感覚がでている建物には様々な工夫と、機能美の凄さを感じてもらえると思う。
文化庁の「登録有形文化財」は、建造物として築50年以上の歴史的な一定の評価を得たものを登録しているが、国内に10000件を超える数にのぼっている。それは歴史的景観だけでなく、のちの造形の規範となっているものでもあり、再現することが容易ではないことも登録基準だ。
というわけで、一般公開されているものが少ないという声もある。そんななかで、酒造りで100年以上の歴史をもつ酒蔵とそれを支える居住空間を見せてもらえる所が全国にある。
【シグニフィカント酒蔵】浪花酒造
大阪府の南端地域には、阪南市に「成子家住宅」がある。建築年代は1916年(大正5年)、木造二階建瓦葺である。文化庁の紹介には「浪花酒造の酒蔵兼住宅」。主屋は木造総二階建、入母屋本瓦葺で、間口11間にも及ぶ大型町屋。三列六間取りの平面で書院化された座敷や二階の居室化等の近代の町屋の特質がみえる一方、二階の天井を低くし、窓を全て虫籠窓とする等、伝統的な外観も保持している。
離れは玄関、座敷、茶室、洋館を配し接客空間として充実した施設をもつ。ほか大規模な二階建の酒蔵二棟もあり、「造り酒屋」の趣を残しながら町並みを構成している。少しでも建築に興味ある人なら色々とヒントをすでに受け取るだろう。
もちろん酒蔵も見学可能で、試飲もできるだから、楽しみは大きい。酒蔵は300年の歴史をもち、酒蔵の方は200年以上の歴史を持っている。
この地域には古い町並みも残っていて、西本願寺尾崎別院の広い境内で休むのもよし、弘法大師ゆかりの名水(湧き水)を味わうもよし、海岸線に近い古い町並みを歩くもよいといったところだ。関西国際空港から20分という立地も願ってもないことだろう。
建築と日本酒と、日本を深く知るきっかけになってもらえるとありがたい。
浪花酒造有限会社
〒599-0201大阪府阪南市尾崎町3-13-6
見学時間:
定休日:
外国語HP:
交通アクセス
①関西空港駅から南海尾崎駅下車、徒歩約5分 (所要時間目安:約35分)
②南海難波駅から南海尾崎駅下車、徒歩約5分 (所要時間目安:約45分)