鳥取の日本酒物語 妖怪の町
2020年12月10日
アニメ大国日本の印象は諸外国では大いに幅をきかせている。では、日本人の中でも二十代以上の共通のアニメ(テレビアニメが主)となると、どんなものがあるか。六十代以上なら「鉄腕アトム」「鉄人28号」等が懐かしく語るだろう。少し下る世代では「サザエさん」「ゲゲゲの鬼太郎」なども人気だった。
現在の映画化されているものとは比べものにならないかもしれないが、日本の若者文化としていつも語られてきたものである。「ゲゲゲの鬼太郎」は墓場で生まれた幽霊の少年がいろんな妖怪たちと繰り広げる物語で、1954年には紙芝居、1965年からは漫画雑誌・貸本、そして1968年にテレビアニメとなり、一年三か月で65回放映された。その人気は絶大で、これまで6回のシリーズで500回以上登場している。
そうした中、町の通りにそのままキャラクターが登場しているのは「げげの鬼太郎」だった。場所は鳥取県境港市。1989年、境港市はまちづくりの一環として漫画家・水木しげるの出身地であることから妖怪キャラクターのブロンズ像を設置する「水木しげるロード」整備に乗り出し、1993年に23体設置でオープンした。2010年には370万人の観光客が訪れたという。いわば、漫画のひとつの聖地かもしれない。
その境港は全国でも有数の漁港で、1992年から5年連続漁獲水揚げ量日本一にもなった。紅ズワイガニの加工は全国の八割というシェアを誇るほどで、日本屈指の港であることはよく知られている。だからこそ美味しいものを求めてやってくる人達に、酒はなくてはならないものとして、「港の蔵元」が注目されないわけがない。
【ファンタスティック酒蔵】千代むすび酒造
JR境港駅から歩いて2分の距離にある「千代むすび酒造」の酒蔵は、水木しげるロードも妖怪神社も本当に近い。それは楽しみの端緒でしかなく、伝統的な酒造りから焼酎やリキュール、スピリッツや糀甘酒などと幅が広い。近年「推し酒総選挙」なるものを催し、飲み比べて投票する形式でのイベントや2021年の頒布では月ごとに酒米を変えて、「この月は五百万石という品種の酒米で農家さんはこの方」という選び方をして違う味わいを楽しんでもらうことなども試みている。
また地域の農業協同組合が開発した高濃度のアミノ酸を含む米を使って「甘酒の傑作」を創り出したり、地域ならではの酒造りが浸透している酒蔵でもある。鳥取・境港まで出向くだけの価値がありそうだ。
千代むすび酒造
〒684-0004 鳥取県境港市大正町131
見学時間:9:00-16:00(要予約)
定休日: なし
外国語HP
交通アクセス
①JR大阪駅からJR岡山駅より特急やくもに乗り換え、JR米子駅からJR境港駅下車、徒歩約2分
(所要時間目安:約195分)