鳥取の日本酒物語 四季の潤い
2020年12月10日
鳥取の日本酒物語_四季の潤い
日本には四季を愛でる文学がある。中でも世界一短い文学といわれる「俳句」は、少しずつ世界でも詠まれるようになってきた。第二代国連事務総長ダグ・ハマーショルドも亡くなるまで俳句を書いていた。俳句には「季語」という四季を詠み込む定型があり、日本の風土にあった季節の言葉を選んできた。
鳥取の俳人に「尾崎放哉」という人物がいた。俳句といえば五七五の十七音からなる季語のある定型のものがほとんどだが、尾崎放哉は「自由律俳句」といって、定型の十七音も季語のない句を創っていた。ユニークな人だ。
咳をしても一人独りで暮らしていて、結核による咳の発作に悩んでいたようだが、短い言葉でその暮らしが見えてくるような句を詠んでいる。やさしく柔らかい言葉で表現されたその世界は、人の生き様をそのまま示しているとも言えるだろう。彼には「舟から唄ってあがってくる」という、最晩年の名句がある。「入れものが無い両手で受ける」といった自身の詠った句が多い中で、海の民を描いた。短い言葉ゆえに、かえって見事に人間を描写している。季語がないからといって、季節感がないわけではない。短詩であるということは想像させること、背景を感じ取ることが重要で、そこまで切り詰めた言葉には余白が多いものだ。
尾崎放哉は酒が好きな人であった。他にも俳人はまた多くの酒を詠んでいる。季語に「新酒」「古酒」「熱燗」などその時期その時期の言葉が酒を愛でる国民であることを示していよう。
【チャレンジ酒蔵】稲田本店
その鳥取の中心は米子だろう。ここに創業は延宝元年(1673年)、今から350年近く前から酒造りをしている「稲田本店」がある。
地元山陰の地酒文化を守りながら、しかしそれにとどまらない「全国に先駆ける」心意気でこれまで幾つもの試みをやってきたという。なんと明治25年(1892年)という日本が武家社会中心の世から大転換した時期に、ドイツから技術を導入してビール工場を作ってみたり、昭和6年(1931年)にはどこにもなかった「冷用酒(冷やして飲んで美味しいお酒)」を発売した。その銘柄は「トップ水雷」だった。
この他にも新しい試みは幾つもあって、鳥取原産の40年ぶりに復活した酒米「強力」を使った吟醸酒も作っている。歴史も長いが、これから400年、500年と愛される酒を造り出す「こころ」を大切にしたいと杜氏は語っている。オリジナリティとユニークが鳥取には似合うのかもしれない。鳥取には鳥取市や倉吉市などにも酒蔵見学できる所がある。
株式会社稲田本店
〒683-0851 鳥取県米子市夜見町325-16
見学時間:9:00-17:00(土日祝日除く)
定休日: 土日祝日
交通アクセス
①電車
JR大阪駅からJR岡山駅より特急やくもに乗り換え、JR米子駅下車、タクシーで約15分
(所要時間目安:約270分)
②自動車
1.中国自動車道落合JCから米子自動車道へ乗り換え、終点米子ICまで走ります。(落合JC~米子ICはおよそ1時間)
2.そのまま国道431号線を境港方面へ直進してください。
3.およそ15km走り富益交差点を左折
4.踏切を越えて二つ目の信号を左折
5.右手の高専、正面を越えた点滅信号を左へ入ると蔵が見えます。
③飛行機
1.羽田から米子行きの飛行機があります。
2.米子空港からタクシーで約15分です。